世間と歴史と日本人 阿部謹也×呉智英
世間と歴史と日本人 阿部謹也×呉智英
2003年10月26日日曜日
ある意味日本でもっともラジカルな言論を繰り広げる阿部謹也、呉智英の両氏をお迎えし、世間について、歴史について、日本人について、頭を抱えてひっくりかえるほど悩み、あまりのことに笑ってしまう、抱頭抱腹絶倒トークライブをお送りいたします。乞うご期待!
なごや博学本舗第4弾 世間と歴史と日本人
第1部 阿部謹也 スペシャルトーク『日本人にとって歴史とは何か』
阿部さんが今まさに考えている、恐らく未発表の内容です。聞き逃せない!
第2部 阿部謹也×呉智英『世間と歴史と日本人』
17年ぶりの顔合わせとなる両氏の縦横無尽対談
出演 阿部謹也(西洋社会史研究者、一橋大学名誉教授)、呉智英(評論家)
日時 2003年10月26日(日)午後2時から
会場 大須演芸場(名古屋・大須/地下鉄鶴舞線・大須観音下車徒歩5分)
参加費 予約・前売/1,500円 当日/2,000円(全自由席)
※前売券は、ウニタ書店(名古屋今池・新今池ビル2F)にて取扱い。
「世間と歴史と日本人」
21世紀に入って3年目。
携帯電話にはカメラがつき、ネット人口は日本人の約半分、DNA鑑定だってもはや当たり前の世の中。現代人は科学の粋を集めた道具と技術に囲まれて生活しています。
しかし、私たちは科学的な思考も合理的な思考もできず、いまだに古代の『日本霊異記』に著されたのと同じような呪術的世界観にどっぷりと浸かったまま。
阿部謹也氏は以上のように分析しています。
そういわれてみれば、思い当たるフシが…。殺人や自殺があったマンションは超格安だったとしても借りたくない。結婚式に仏滅は選ばないし、葬式だって友引を避ける。会社が潰れそうになっても、患者が死にそうになっても、合理的な意見がみんなの前で表明できないからこそ、匿名で内部告発するのが精一杯。
こうした非合理な感性は徐々に薄れているように見えるのですが、実は若い人にもしっかり受け継がれています。茶髪、ジベタリアン、電車で化粧…、で自由にやりたい放題しているように見える。
だけど彼らは親や教師を無視できても、友達を無視できない縛りがあるんです。
「いやだな」と思ったことにも友人達に合わせて行動し、ノリ良く、明るく…。こうしないと学校や仲間のなかで生きていけないツラさを抱え、狭い狭いオトモダチ世間で息苦しく暮らしているのです。
何故イジメが始まるのか、誰がどんなことで標的にされてしまうのか、合理的な理由が分からない恐ろしさ。
自分と合わない友達から外れて好きなように生きればいいのに、そうした自由で合理的な行動は、奔放そうに見える若者にだって、ものすごく難しいのです。
さて、こんな私たちが、実証的な「歴史学」や「自然科学」の成果をもとに、現在を相対化することができるのでしょうか。そしてまた、科学的・合理的な思考で社会をつくりあげることができるのでしょうか。
多分それはとっても難しい。だけど呪術的非合理な感性一本でやっていくには、世の中余りにも変わってしまいました。現在困っているややこしさ、生きにくさは、古いOSじゃ対応できない問題なのだと思います。
ならば新たな方策はどうやって立てていけばいいのでしょうか。今回のイベントでは阿部さんと呉さんのお話をうかがって、ややこしい世の中で、ちょっとは気持ちよく生きていく術を考えるための「何か」を得たいと思っています。